大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)699 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人箭柏卯行の上告理由第一点について。

論旨は、原判決が本件土地につき普通建物所有を目的とする賃貸借の成立を認め

た時点すなわち昭和二三年九月頃には、本件土地には所論法令(特別都市計画法、

昭和二元年勅令三八九号戦災都市に於ける建築物制限に関する件)が施行され、借

地法九条所定の臨時設備その他一時使用のための建物のみ建築が許され、同法二条

の適用される普通建物の如きは建築が許されていなかつたと主張し、これを前提と

して原審の事実誤認を唱えるが、原判決は、その挙示の証拠にもとづいて、同判決

認定のような経緯を経て上告人被上告人間に判示のような非堅固建物の所有を目的

とする賃貸借契約の締結された事実を認定したのであつて、たとえ所論のように当

時は未だ普通建物の建築は許されていなかつたとしても、それがために直ちに所論

のように右事実の認定をもつて違法とすることはできない。所論はひつきよう原審

認定にそわない事実を以て原判決を非難するに帰着し採用できない。

同第二点の第一について。

論旨は、前示第一点と同様の所論に基き原判決の理由不備をいうものであるが、

右所論の理由ないこと前叙のとおりであるから、論旨はすでに前提を欠き採用でき

ない。

同第二点の第二について。

論旨は、本件につき原判決が罹災都市借地借家臨時処理法を適用しなかつた点に

理由不備があるというが、原判決は、昭和二三年九月頃当事者間に賃貸借契約の成

立を認定しているのであるから、同法適用の余地なしと判断したことは正当であつ

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て所論理由不備は存しない。

同第二点の第三について。

所論は、原判決が甲一号証、同二号証について首肯するに足る証拠判断を示さず、

この点に理由不備があるというが、所論書証の取捨判断については、判文上所論違

法は認められない。所論はひつきよう、原審の専権たる証拠の取捨を非難するに帰

着し採用できない。

同第三点について。

所論要素の錯誤の主張を容れなかつた原審の認定は、挙示の証拠関係に照し肯認

できるところであつて、その点に経験則違反は存しない。所論は結局原審の適法に

なした証拠の取捨、事実の認定を非難するにすぎず採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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